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医療コラム

感染根管治療の治療の手順について|石神井公園駅前四季デンタルオフィス|石神井公園駅徒歩1分の歯科

感染根管治療の治療の手順について

こんにちは。院長の中村です。

 

 

感染根管治療の治療の手順について、詳しく説明しますね。

 

感染根管治療の目的と手順

すでに細菌によって根っこの管が汚染されてしまっている状況(根尖性歯周炎)での治療の手順を説明いたします。感染根管とは、細菌がすでに感染してしまっている根管のことです。根管内の細菌により、根尖性歯周炎と呼ばれる病気が引き起こされます。細菌は顕微鏡等を使っても目に見えないため、一度根管に感染した細菌を全て取り除くことは不可能です。感染根管治療の目的は、根管内にいる細菌を可能な限り取り除き、根尖性歯周炎を抑えることです。

 

検査・診断

単純X線写真術前視診・触診・打診・レントゲン検査(単純X線撮影)・歯周ポケット検査などにより、歯の状態を詳しく検査していきます。病気の原因を診断した上で治療方法を決定し、現状とそれに対する治療内容、大まかな成功率を説明いたします。

 

古いつめもの・かぶせ・歯の土台の除去とむし歯の除去

古いつめもの・かぶせ・歯の土台等の人工物を取り除き、歯をしっかり確認できるようにします。多くの場合、人工物の下にむし歯が残っていることが多いため、むし歯染色液で染め出ししてしっかり取り除いていきます。

 

隔壁の設置

ほとんどの場合、大きなむし歯により歯の頭の部分が大きくかけてしまっています。これでは後に行うラバーダムを設置したり、しっかりと仮詰めできません。そのため、隔壁と呼ばれる装置を歯にコンポジットレジンという材料により設置し、根管治療の準備をします。

 

ラバーダムの設置

ラバーダム細菌だらけの唾液から患部を守ることと、苦い消毒薬をお口の中へ飛び散らせず安全に治療を行うために、ゴムのシートを治療する歯に設置します。根管治療を行う上で、とても大切な処置です。

 

むし歯や細菌の機械的除去

感染根管拡大像根っこの中にこびりついているむし歯や細菌のかたまりを機械的に除去していきます。超音波ファイル、ステンレスファイル、ニッケルチタンファイル等の細いやすりで根管内を出来る限りきれいにしていきます。当院では、マイクロスコープを使用しておりますので、根管やむし歯のの見落としを大幅に減らすことが出来ます。

 

消毒薬による根管内の洗浄

むし歯や細菌を機械的に取り除いても、ファイルで届かない細かい場所には細菌が残ります。消毒薬により洗浄し、可能な限り細菌の数を減らしていきます。

 

根管充填

単純X線写真術後可能な限り根管内の細菌を減らした後、根管充填材を根管内に出来るだけ緊密に充填します。細菌が増殖しようとしても、スペースがなければ増えることが出来ません。根管充填により、細菌の増殖を抑えます。

 

コアの設置、かぶせもののセット

折角根管内の細菌を減らしても、また細菌が新たに感染させてしまっては意味がありません。むし歯で失われた歯を補うためのコアとかぶせものをしっかり接着させることで細菌の二次感染を防ぎます。

 

治療回数について

状態にもよりますが、感染根管治療を開始してコアの設置までで大体1~3回(1回のアポイント90分)かかります。場合によっては、かぶせものをセットする前に仮歯で経過観察することがあります。感染根管治療のみで治癒しない場合もあります。

 

 

 

再根管治療が出来るかどうかの基準を説明いたします。

根管治療を希望されて当院を初診で受診される患者さんのほとんどが、既に神経を取っている歯のやり直し(再根管治療:抜髄・感染根管治療のやり直し)を希望されます。しかし、その全てが再根管治療可能かというと、そうではありません。色々な条件が複合的に絡み合うため、一概には言えませんが、当院での再根管治療の基準を可能な範囲で説明したいと思います。

 

再根管治療が適応となる歯の状態

以下のような状態のときは、再根管治療が適応となる可能性があります。

①過去に受けた根管治療が医学的に標準的な手順で行われていなかった場合

日本の健康保険制度では医療費抑制政策のため、世界的に標準とされている根管治療を行うことが非常に難しい状態です。不適切な根管治療を元々受けている場合、標準的な手順で治療を行うことで治癒される可能性があります。

 

②根管の見落としなど、明らかに感染源の取り残しがありそうな場合

レントゲン画像などにより、根管の見落としなど、感染しているのに処置がされてなさそうな部位があるときは、再根管治療の適応となります。

 

③むし歯の再発により、根管に感染が起こっている場合

以前の根管治療が成功していたとしても、むし歯の再発により根管内に感染が起こった場合は、再根管治療の適応となります。

 

再根管治療が適応とならない歯の状態

以下のような状態のときは、再根管治療が適応とならない可能性があります。

既に前医で医学的に標準的な手順で根管治療を受けている場合

ラバーダムを使用し、器具の滅菌をしっかりしている状態で治療を受けて、それでも病気が治癒してこない場合は、感染根管治療ではその病気が治らないということになります。当院では、問診時にラバーダムを使用して治療を受けたかなど治療の経過についても確認し、前医の治療内容を可能な範囲で推定し、患者さんにお伝えしております。

 

レントゲン画像のみでは、前医の治療内容が医学的に標準的かどうかを診断することは難しいです。根管充填のきれいさはレントゲンの画像でわかりますが、いくら根管充填がきれいでも、ラバーダムなしで汚染された器具を使用していたら治療としての意味はないし、根管充填が汚くても、感染対策を行った上で感染源がきっちり取れていればそれは適切な治療となるからです。

 

もし、ラバーダムを使用して行われた根管治療であれば、その歯科医師は誠実に適切な根管治療を行おうとしていたと推定して良いと思います。別に、マイクロスコープやCTの使用は必須条件ではありません。

 

逆に言えば、マイクロスコープやCTを使用したことだけでは、正しい手順での根管治療をしたことにはなりません。

 

歯の状態が悪すぎて、保存が難しい場合(要するに手遅れ)

歯の状態が悪く保存が難しい場合は、再根管治療の適応にはなりません。例えば、以下のような状態では治療対象にならないことがあります。

 

病気が進行していて、歯を支える骨が大きく溶けてしまっている場合。

歯が大きく割れてしまっている場合。

むし歯が深すぎる場合。

その他、歯の保存が難しくなる様々な要因がある場合。

当院で再根管治療を行った後、再治療を勧めることはありません。

当院では、レントゲンよる状態の確認・ラバーダム防湿・専用の最新機器と器具の新品使用滅菌の徹底など、医学的に出来ることを全て行って治療を行いますので、当院で再根管治療を行っても病気が治ってこないときは、感染根管治療を行っても治癒しない歯の状態(医学の限界)の可能性があります。そのため、当院で2回目の根管治療を勧めることはありませんし、過去にもそういった事例は一度もありません。1回装着したかぶせものや土台を破壊してやり直すことは行いません。

 

感染根管治療の成功率は沢山の研究がありますが、総じて精々70%の成功率の治療法です。厳しい言い方をすると、適切に治療しても3本に1本は治らないことになります。医学に絶対はありません。がんを絶対に治すと言えないのと同じで、最善を尽くしても治らないことは当然あります。患者さんの立場からすると、成功しないと歯科医師の評価は悪くなってしまうのが辛い所ではありますが、当院では初診の際にこのことについて、しっかり説明させていただいております。

 

もし、感染根管治療のみで治らない場合は、次の手である外科的処置の適応となります。

 

以上、感染根管治療についてご理解いただけたでしょうか!石神井公園駅前四季デンタルオフィスでお待ちしております。

 

 

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