認知症のリスクを高めるの?
こんにちは。院長の中村です。
認知症のリスクを高めるの?
歯周病を放置すると、お口の中だけでなく、全身にさまざまな病気を引き起こすことが分かっています。
今回は「歯周病と認知症の関係」についてご説明致します。
認知症について
歯周病と認知症の間に「統計的な因果関係」があることは、以前から知られていました。
2020年に九州大学らの研究チームが行った実験によって、歯周病が認知症を起こす「具体的なメカニズム」が発見されました。
認知症には、アルツハイマー型や血管性などいくつかの種類があります。
なかでもアルツハイマー病は、認知症の原因疾患のひとつで、認知症全体の7割弱を占めています。
アルツハイマー病の原因物質は「アミロイドβ」という異常なタンパク質で、この物質が脳内に溜まることで脳や海が損傷をうけ、萎縮してしまいます。
研究によると、歯周病菌が血液から体内に侵入した場合、アミロイドβを運ぶ受容体の数が2倍、脳内に蓄積されるアミロイドβが10倍に増え、記憶力が低下することが分かりました。
また、受容体を阻害する投与することで、細胞を通過するアミロイドβの量を4割減らせることも分かりました。
これを分かりやすいように例えると、増えすぎた歯周病菌(黒幕)の影響で、免疫細胞と炎症物質(工場と原材料)がアミロイドβをせっせと作り出し、受容体(運び屋)がどんどん脳内に取り込んでいるようなイメージでしょうか。
原因物質であるアミロイドβを脳内に蓄積させないためには、運び屋(受容体)か黒幕(歯周病菌)を取り締まればいいというわけです。
アルツハイマー病の予防には、歯周病の治療が効果的であるといえます。
アミロイドβは中年頃から長い時間をかけて脳内に蓄積されるので、アルツハイマー病予防は若いうちから行う必要があります。
歯周病予防
歯周病は、本人が気づかないうちに何年もかけて進行し、自覚症状が現れる頃には歯の骨が溶けて、次々に歯が抜けてしまう病気です。
完治させるのは難しいですが、症状が悪化しないようにコントロールすることは可能です。
自覚症状が少ないまま何年もかけて進行するという点では、アルツハイマー病と似ています。
歯周病の予防としては、気になる症状がなくても、定期的なケアを怠らないようにすることが大切です。
歯周病ケアの基本は、プラークや歯石を取り除いて「口内を清潔に保つ」ことです。
正しいブラッシング方法を覚えて、食後と就寝前の歯磨きを励行してください。
どんなにしっかりブラッシングする方でも、どうしても毛先が届かない部分があり、磨き残したプラークは2週間で歯石に変化します。
いったん歯石になると自分では落とせないので、歯の定期検診を兼ねて、3〜4ヵ月に一度は歯科で歯石除去を行うようにします。
「毎日行うセルフケア」+「3〜4ヵ月に一度行うプロフェッショナルケア」を組み合わせることで歯周病が予防でき、将来アルツハイマー病になるリスクを減らすことができます。
歯ぐきに違和感を感じたときは「たいしたことない」と放置せず、早めに歯科を受診するようにしてくださいね!