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医療コラム

保険の根管治療の成功率についての学術的データについて|石神井公園駅前四季デンタルオフィス|石神井公園駅徒歩1分の歯科

保険の根管治療の成功率についての学術的データについて

こんにちは。院長の中村です。

今回は皆さまが興味深い、保険の根管治療の成功率についての学術的データについてご説明致しますね。

 

 

※参考文献『わが国における歯内療法の現状と課題』須田 英明 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科接触機能保存学講座歯髄生物分野/平成23年 発表)

 

 

歯科の診療は、自由診療、保険外診療として認められているわけです。場面によって使い分けることが、患者様側の選択の自由なのかもしれません。

日本における根管治療(歯内療法)の成功率は30%です。つまり、5~7割は”失敗”を意味します。下記は、根管治療(歯内療法)の成功率を裏付ける文献です。私が、診療を通じて日々痛感している部分でもあります。

 

『保険診療請求回数の全国集計』(2010年、政府統計)によると、2009年度の永久歯の根管治療(歯内療法)の全国保険診療請求件数は、約1,350万件です。そのうち、歯の神経(歯髄)を取る”抜髄”(ばつずい)は約600万件、感染根管処置は約750万件にのぼります。

 

抜髄に当てはまるのは、1回目の根管治療(歯内療法)のみです。その歯の神経を初めて除去する際の治療のみがカウントされています。一方、感染根管処置というのは、簡単にいってしまうと、根管治療(歯内療法)のやり直しを指します。

1回目の根管治療(歯内療法)よりも、2回目以降のやり直しである再根管治療が多くなっていることが分かります。

 

1回目の根管治療(歯内療法)が成功していれば、当然、再根管治療は不要になります。また、2回目の再根管治療が成功していれば、感染根管処置の数はさらに減っているはずです。つまり、1回目も2回目も成功せず、3回以上繰り返し治療が行われているという現状なのです。

 

最終的にその歯は、抜歯の選択を余儀なくされます。

 

 

根管治療の成功率についての学術的データ

 

次に、根管治療(歯内療法)後、どのような経過を辿っているかを調査したものを紹介します。

下記の図は、根管治療(歯内療法)をした歯における根尖部X線透過像の発現率を示したものです。分かりやすくいうと、治療後の根に膿ができているかどうかについてです。

 

根尖部(こんせんぶ)というのは文字通り、歯の根の先端にある部分を指します。ここに膿ができると、レントゲンに影として映るのです。(症例によっては、レントゲン写真に投影されないこともあります。)

 

ヨーロッパの根管治療(歯内療法)のガイドラインの基準は、根管治療の4年後までに、根尖部X線透過像の完全な消失をもって「成功」としています。この根尖部X線透過像には、治癒途中のもの、瘢痕治癒(傷のような治り方)したもの、咬合(噛み合わせ)に起因するもの、垂直歯根歯折によるものなどがありますが、それが、全てが消失しないと成功とはみなされません。ヨーロッパにおける根管治療の”成功”というのは、それだけ厳しいものなのです。

これらを鑑みると、日本の根管治療(歯内療法)の成功率は、決して誇れるものではないと本文献にも延べられています。

 

 

 

上顎の場合は、前歯で約70%、小臼歯で約60%、大臼歯で約65%に膿がみられます。

下顎の場合は、前歯で約50%、小臼歯で約55%、大臼歯で約65%となります。

また、いわゆる”親知らず”は、約70%です。

生えている箇所によって確率が変わりますが、どの症例も高い割合で確認されていることが分かります。

 

※参考文献『わが国における歯内療法の現状と課題』須田 英明 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科接触機能保存学講座歯髄生物分野/平成23年 発表)

 

根管治療失敗の主な理由

参考文献によると、根管治療(歯内療法)の失敗は、歯内療法における無菌的処置原則が必ずしも守られていないことにあると言及されています。無菌的処置原則とは、ラバーダムを用いた防湿処置のことです。ラバーダムとは、ゴムシートのことで、患者さまの患部以外を覆い、処置するものです。ラバーダムを使用するのとしないのでは、成績に大きく影響するとの報告もあります。

しかし、実際にラバーダムを使用している医師は非常に少なく、

 

一般歯科医師でも5.4%、日本歯内療法学会会員でも25.4%程度が現実です。

 

もちろん、根管治療(歯内療法)のラバーダムの有効性は周知されていて、日本歯内療法学会のガイドラインでも”必須”ともされています。患者様にとってメリットの大きいラバーダムを使用しないのは、治療のスタートラインにも立てていないと感じます。 この成功率を高めるには、しっかりとガイドラインを守り、正しく治療することが第一です。歯科医の腕や知識、実績ももちろんのことではありますが、使用するべきものを必ず使用するというのは、とても重要なことです。

 

事実、ヨーロッパなどの先進国では、ラバーダム防湿処置を行うのは、当然

だと考えられています。日本においても、当然であることがもっと広まるべきだとはいえます。このように根管治療(歯内療法)の成功には、歯科医の腕のみならず、多くのことが必要であることを患者様にもご理解いただけると幸いです。

根管治療(根幹治療)に関する

●よくある質問としては、

 

なぜ、日本ではラバーダム防湿を導入していない歯科医院が多いのでしょうか?

ラバーダム防湿をスムーズに装着するには、技術と経験、工夫が必要です。また、ラバーダムは使い切りで、保険診療の場合、認められる費用が1枚分の経費より安くなってしまうため、使用出来ませんし、普及されていません。

 

ほとんどの歯科医師はラバーダム防湿の重要性を理解しているのですが、日本ではラバーダム防湿に労力と経費をかけない選択をする歯科医師が多いというのが現実です。

 

●根管治療(根幹治療)を受けた後の歯はどのくらい使えますか?

 

適切な根管治療が受けられたとしても、その他の環境が整っていなければ長持ちはしません。

 

無意識の時(例えば睡眠時)、人は体重の約3倍もの力で歯ぎしりや食いしばりをしています。その結果、噛み合わせの環境が変わり、それぞれの歯に無理な力がかかってヒビが入り、後には割れてしまいます。割れてしまった場合は抜歯になります。

 

 

よって、日本の根管治療(歯内療法)の成功率は、決して誇れるものではないと本文献にも延べられていますように、保険診療の限られた材料と環境での根管治療よりも、環境含めて色々機器や材料が使用出来る自費の根管治療をおすすめ致します。

 

 

神経を取り除いた道の先端(身体の神経に通じる所)を綺麗にする際、先端から細い器具を使うので痛みを感じる方もおられます。痛みが強い場合は麻酔を増やすなどして様子を見ます。

 

●根管治療(根幹治療)後の生活で気をつけることはありますか?

植物に例えると、神経がある歯は生の枝、神経を取って歯は枯れた枝です。神経がない状態は歯がより折れやすい(割れやすい)という事です。固いものを噛む事は控えてください。

 

精密な根管治療(根幹治療)と合わせて噛み合わせの治療もおすすめしています。磨り減った部分を足す事で、歯への力のかかり方を緩和させる治療です。睡眠時はご自身の歯並びに合わせてお作りしたマウスピースをつけてお休みいただきます。

 

また、歯磨きが適切に継続されていなければ、歯周病などの病気を引き起こし、安定した口腔内環境での生活が送れません。日常のご自身でのケアだけでは落としきれない汚れは必ずあります。専門的な口腔清掃も行います。

 

 

 

根管治療とセラミック治療でお悩みの方は石神井公園駅前四季デンタルオフィスへご相談を。

 

 

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