インプラント骨造成について。
- 2023年5月14日
- 歯科
こんにちは。院長の中村です。
今回は、顎の骨が少なくてもインプラント治療が受けられる?骨造成(こつぞうせい)についてご説明致しますね。
かつては骨が薄い・量が足りないという理由で断られることも多かったインプラント治療ですが、最近は「骨造成(こつぞうせい)」という方法で、骨が少ない人でもインプラント治療が可能になっています。では、その骨造成とはどのような治療なのか、そして治療によるメリット・デメリットについてご説明致しますね。
インプラント治療における「骨造成」とは、どのような治療なのかと申しますと、
一口に「骨造成」といっても様々な種類があるのですが、一般的にはインプラント治療において骨が不足している部分に骨を増やし、インプラントを入れるスペースを作る処置のことを指します。
具体的な骨の増やし方として、
患者様自身から取り出した「自家骨(じかこつ)」や、人工的に作られた「骨補てん材」などを骨の足りない部分に補い、そこを足がかりに新しい骨を作っていきます。どのような方法で補っていくかで手術の方法が異なりますので、骨造成はこれらの術式の総称と考えていただくと理解しやすいと思います。
なぜ、骨造成をおこなう必要があるのでしょうかと言いますと、
近年のインプラントは長さや太さの種類も多く、患者さんの骨の厚みや高さに応じて選べるようになっています。しかし、最低限の長さ・太さのインプラントを入れるにも、それを支えるだけの十分な骨の厚みや高さが必要です。もし、骨の量が足りないままインプラントを入れてしまえば、治療後すぐにグラグラしたり抜け落ちたりするリスクが高くなります。そうならないためにも、骨造成で必要な骨を増やしてあげることはとても重要なのです。
骨が足りない人でもインプラント治療ができるという以外にも痩せていた骨を増やしてあげることで、歯ぐきの見た目やバランスが整います。ただし、審美面を重視して骨造成をおこなうというよりは、あくまで必要な骨を増やした結果として得られる効果なので、その点はご留意ください。
骨造成はデメリットもあるのでしょうか?
患者様のデメリットとしては、通常の治療に骨造成がプラスされて治療期間が長くなること、さらに費用も別途かかってしまうことなどが挙げられます。また、骨造成に患者さんの別の部位から取り出した自家骨を使用する場合は、その部位に痛みや腫れが強く出てしまうのもデメリットになります。
骨造成は、どのくらいの頻度でおこなわれているのでしょうか?
日本では、ごく一般的におこなわれている処置だと考えています。というのも、アジア人は人種的に欧米人と比べて骨の高さや厚みが少なく、インプラントを入れるスペースが足りないケースも多いからです。簡単な処置まで含めると、日本では割と広くおこなわれているような印象があります。
骨造成の手術法(術式)には、どのような種類がありますか?
一般の歯科医院では「骨誘導再生法(GBR法)」と、上顎に対しておこなう「サイナスリフト」「ソケットリフト」という術式がおこなわれています。
ではまず、「骨誘導再生法(GBR法)」とはどのような治療か教えてください。
「骨誘導再生法」という名前にあるように、この術式は骨を増やしたいところにスペースを作り、そこに新しい骨を誘導してあげる治療法です。自家骨や骨補てん材を補った部分を特殊な膜で覆い、そこに新たな骨の再生を誘導していきます。
上顎に対しておこなう「ソケットリフト」「サイナスリフト」とは、
この2つは、主に上顎の奥歯のインプラント治療で骨の高さが足りないケースに対しておこなう治療です。上顎には鼻の両側に「上顎洞」という空洞がありますが、奥歯のインプラント治療ではこの空洞によって骨の高さが不足してしまうケースがあります。このような場合に、その部分の骨の高さを増やしてあげるのが「ソケットリフト」や「サイナスリフト」という術式です。
「ソケットリフト」と「サイナスリフト」の違いは、
サイナスリフトは骨の量が圧倒的に少ない、あるいは広範囲に増やしたい場合に用いられる術式です。歯ぐきを大きく開く必要があるため手術による負担は大きくなりますが、残っている骨量に関係なく適応できるという利点があります。一方のソケットリフトは、歯1本分の比較的狭い範囲で骨を増やしたい時に用いる術式です。歯ぐきを大きく切るなどの処置が必要ないので手術による負担は少ないですが、ある程度骨が残っているケースでないと適応は難しくなります。
骨造成を受けるうえで知っておきたいこと、
骨造成は術後に痛みや腫れが出るのでしょうか?
広範囲に及ぶ骨造成でなければ、仮に痛みや腫れが出ても歯を抜いたときと同程度であることがほとんどです。一方で、自家骨を取り出すケースやサイナスリフトのように広範囲に骨を増やすケースについては、痛みや腫れが強く出るケースも多くなります。
仮に痛みや腫れが出た場合、痛みのピークはいつ頃なのでしょうか?
多くの場合、術後2~3日目がピークとなり、1週間ほどで症状は落ち着きます。痛みが続くときは、痛み止めを服用しながら症状をコントロールしていきます。
骨造成をしてから新しい骨ができるまでの期間は?
新しい骨ができるまでには、おおよそ6~8カ月ほどかかります。全体の治療期間については、骨造成をインプラント手術と別におこなうか、インプラント手術と同時におこなうかで異なります。一般的には、同時におこなう方が期間は短くなります。
骨造成の費用は
骨造成はインプラント治療と同様に、治療費に保険が適用できません。したがって、治療を受ける歯科医院や、どのタイプの骨造成をおこなうかによって費用は大きく異なります。
骨造成は、これから入れるインプラントを長く使っていただくために必要な処置です。治療期間や費用面に不安を感じる人も多いと思いますが、まずは信頼できる歯科医に相談して納得したうえで治療に臨みましょう。
インプラント治療における骨造成は、骨の足りない部分に新しい骨を作り、インプラントを長期的に安定させることを目的におこなわれるとのことでした。一番心配な術後の腫れや痛みに関しては、広範囲に及ぶ骨造成を除くと抜歯と同じくらいの症状で済むことが多いようです。費用や治療期間については、どの手術法で・どのくらい骨を増やすか、また受診する歯科医院によって異なるため、まずは信頼できるドクターに相談してみましょうね。
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