お子様のお口がどうして開いてしまうのでしょうか?
こんにちは。院長の中村です。
今回はお子様のお口がどうして開いてしまうのでしょうか?お口ポカンと子供の成長についてご説明致しますね。
子育て中の方は、お子さまの歯並び・爪かみ・食べ方・指しゃぶりの長期化など、悩みが尽きないことと思います。その中でも「お口ポカン」は最近とても増えており、それがお悩みと感じるお母様も多いようです。
大学研究グループが日本で初めて口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜんしょう)に関する調査を行った結果によると子どもの約30.7%が日常的に口を開けた状態、「お口ポカン」を示していました。この症状の有病率は年齢とともに増加していることも明らかにされています。
「お口ポカン」について少しお伝えしたいと思います。
さて、どうしてお口が開いてしまうの?
お口ポカンは専門的に口唇閉鎖不全と呼ばれています。舌やお口周りの筋肉の弱さによって生じると言われています。
特に子供の場合は、口を閉じるための舌や口周りの筋肉が十分に発達していないことが原因で、口が開いたままになることも。また、上あごの骨が狭く発達しないために鼻呼吸が難しくなった場合も、お口ポカンの原因になります。
食習慣がお口周りの筋力低下の原因に
子供の舌やお口周りの筋肉が弱まる原因は、現代の食生活の変化が影響しています。現代の食事はやわらかく噛む必要が少ないため、咀嚼(そしゃく)する機会が減少し、筋肉の発達に影響を与えてしまうのです。
そのため、乳幼児期から正しい食習慣を身につけることが重要です。4~5歳頃から噛み応えのある食べ物を意識的に取り入れてみるとよいでしょう。また、1口30回を目安にするなどして、しっかり噛んで食べる習慣を身につけるのも大切です。
幼児期のうちに気を配れば、あごの健やかな発達が促され、お口ポカンの予防にもつながります。
お口ポカンを放置するリスクは
お口ポカンを放置すると、さまざまな問題が発生するリスクが高まります。
たとえば、常にお口が開いている状態はお口の中が乾燥し、唾液の分泌が減少するため、細菌の繁殖が促され、むし歯や歯肉炎、口臭のリスクが増加します。
また、お口ポカンは舌の機能低下につながり、舌癖がついてしまう可能性があります。特に、舌が常に下あごに位置している「低位舌(ていいぜつ)」と呼ばれる状態は注意が必要です。上あごの成長を阻害し、噛み合わせや歯並びに悪影響を及ぼします。
さらに、常にお口が開いている状態では、冷たく乾燥した空気が直接肺に運ばれるため風邪を引きやすくなったり、唇の乾燥や荒れを引き起こしたりすることがあります。
お口ポカンはお口だけでなく全身の健康にも影響を及ぼすため、早めの対策が重要になります。
お口ポカンの対策トレーニングとして
お口ポカンは舌やお口周りの筋力低下によって生じるため、以下のようなトレーニングで対策できます。ここでは、自宅でできる簡単なトレーニング方法を紹介しますね。
フーセンガムや風船を膨らます
実は風船を膨らませられる子供が減っているのはご存じですか?お口周りの「口輪筋(こうりんきん)」と呼ばれる機能が低下しており、約2人に1人の子供が風船を膨らませられないのです。フーセンガムや風船を膨らます動作は、唇や頬の筋肉を使います。続けることで筋力アップにつながりますよ。
あいうべ体操
あいうべ体操は「あいうべ」という音を発声しながら、唇や舌などの筋肉を鍛えるトレーニングです。
1:「あー」と発声しながら、口を大きく開けます。
2:「いー」と発声しながら、口を横に大きく広げます。
3:「うー」と発声しながら、口を強く前に突き出します。
4:「ベー」と発声しながら、舌を下に向けて突き出します。舌の筋肉を鍛える効果があります。
これを1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けることです。お口周りの筋肉が強化され、お口ポカンの改善につながる可能性があります。
はっけよいアニマル体操
参照:JPSS全国小児歯科開業医会 はっけよいアニマル体操
はっけよいアニマル体操は、小児歯科が考案したトレーニングです。このトレーニングでは、口周りの筋肉を鍛えつつ、全身運動も行います。動物を模した動作を取り入れることで、子どもたちが楽しみながら取り組めるのが特徴です。
つまり
子供のお口の健康は将来の健康にも関わるため、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)は早めに対処することが重要です。適切なケアやトレーニングを通じて、お口の機能の発達をサポートしてあげましょうね。
もしお子さまのお口に関するお悩みがございましたら、石神井公園駅前四季デンタルオフィスまでお気軽にご相談ください。