インプラント周囲炎、インプラント周囲粘膜炎について。
- 2023年5月22日
- 歯科
こんにちは。院長の中村です。
今回は、インプラント周囲炎、インプラント周囲粘膜炎について説明致しますね。
インプラント周囲炎とは?
炎症がインプラント周囲の粘膜だけでなく、骨組織まで進行してしまうのが、インプラント周囲炎です。インプラントは天然の歯と比較して、炎症に対する抵抗性が低いため、骨組織まで波及すると、進行が早く、自覚症状があまりないため、気付いたときにはグラグラ揺れていてしまい、最悪の場合、インプラントを撤去しなければいけない場合もあります。
インプラント周囲粘膜炎とは?
インプラント周囲の粘膜に発赤や腫脹などの炎症徴候はありますが、レントゲン上でインプラント周囲の骨の吸収が認められない可逆性の炎症性病変をインプラント周囲粘膜炎といいます。いくつかの研究報告によると、インプラント治療を行った患者において、インプラント周囲粘膜炎の罹患率は非常に高いことが報告されています。しかし、その炎症症状はインプラント周囲の粘膜に限局しているため、適切な処置・治療により、健全な状態を取り戻すことができます。そのため早期発見と早期治療が必要といわれています。
原因としては、
一番の原因はプラーク(歯垢)です。インプラント周囲の粘膜が歯垢により細菌感染を起こしてしまうと、炎症が惹起され、インプラント周囲粘膜炎を引き起こします。そして、炎症が骨組織まで波及することでインプラント周囲炎を引き起こします。この歯垢による細菌感染は、ブラッシングなど適切なケアが行えないことで起こります。また、インプラントの被せ物(上部構造)の形態不良、インプラントの位置が適切でない、インプラントに隣接する歯の位置の不正(歯列不正)、インプラント周囲の歯肉が脆弱な場合など、適切なブラッシングが行いにくい環境も細菌感染を引き起こす間接的な原因になる可能性があります。
その他、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎のリスクを高める要因(リスクファクター)として、糖尿病、歯周病、喫煙などがあります。
予防法としては、
インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎を予防するためには、一番は毎日の歯磨きによる適切なプラークコントロールを徹底することです。また、リスクファクターを減らすこと、定期的にメインテナンスを受けることで、お口の中の清掃状態の確認や、歯磨きの指導を受けることが重要です。
治療法は、
インプラント周囲炎、インプラント周囲粘膜炎やの治療法としては
①歯ブラシの指導の徹底
②機械的清掃:インプラントの表面を傷つけないようにプラスチック製の器具などを使用して、歯垢や歯石を除去し、洗浄をすることで除染を行います。インプラントの被せ物が取り外し可能な場合、必要に応じて、取り外して除染する場合もあります。
③インプラントの撤去:インプラント周囲の骨が改善できない程度まで吸収している場合や、インプラントがぐらついている場合は、インプラント自体が感染源となるため撤去する必要があります。
治療法に関しては、様々な方法や器具が検討されていますが、どの方法が優れているかという決定的なものはまだ確立されていません。
インプラント治療は、歯を失った場合における有効な治療法の1つと考えられます。しかし、インプラント治療を行なった場合でも、きちんと予防や適切な管理を行わないとインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎を引き起こしてしまいます。インプラント治療を成功させ、長期に維持させるためには予防や、早期発見・治療のためにもインプラントを埋入したクリニックで定期的な受診をしましょうね!