かみ合わせが悪いことによる全身への悪影響とは
- 2023年5月1日
- 歯科
こんにちは。院長の中村です。
かみ合わせが悪いことによる全身への悪影響とは
かみ合わせが悪いことによる全身への悪影響とは
「なんとなく体の調子が悪いけど、病院で調べてもらっても原因がはっきりしない」という経験をされたことはないでしょうか? もしかしたら、原因不明のその不調には「かみ合わせ」が関係しているかもしれません。今回はかみ合わせが悪いことで起こり得る体の不調や全身への影響について。
まず、「かみ合わせが悪い」とはどんな状態なのでしょうか?
そもそも「かみ合わせ」とは、下顎の骨が動くことで上下の歯をこすり合わせたり、ぶつけあわせたりしながら食物を粉砕する機能(咀嚼運動)のことを言います。この時に動き回る下顎の骨は、頭蓋骨にブランコのように筋肉で吊り下げられているので、身体の中心からずれたり曲がったりしていると、正しい動きをしてくれません。したがって、かみ合わせが悪い状態とは「下顎の骨が身体の中心に対して、ずれたり歪んだりしてぶら下がっている」状態のことだと覚えておいてください。歯並びが良くても、かみ合わせが良いことにはならないのです。
私たち人間は直立二足歩行という不安定な状態で生活していますので、1kgもある下顎の骨が歪んでぶら下がっていると、バランスが崩れてしまいます。そのような状態で姿勢を保つには、全身の筋肉が無駄な働き(緊張の連続)をしなければなりません。特定の筋肉が緊張をし続けると、ハリ・こり・痛みなどの症状を生み、さらには緊張をした筋肉の近くを通る血管・神経を圧迫して、血流障害やしびれも起こします。さらに血流量の低下が起こると、全身の様々な場所でトラブルが発生することになります。
かみ合わせの悪さが全身に及ぼす影響として
大きく分けると「不定愁訴を含む全身健康への影響」と「美容的な問題」の2つがあります。全身健康への影響では、原因不明な首や肩のこり、腰痛、頭痛などが代表的です。そのほかに、脳への血流量の減少によって「イライラする」「怒りやすい」などの精神的な問題や心の問題を生むこともわかっています。
美容的な問題としては、
顎の位置がずれてかみ合わせが悪くなると、その周囲を取り囲む筋肉のバランスも崩れてしまうため、顔が歪んだり顔立ちが変わったりします。また、一つひとつの筋肉は「筋膜」という膜で全身とつながっています。顔周りの筋肉のバランスが崩れると、筋膜が全身へと波及して姿勢が悪くなるといった症状を引き起こします。さらに、バランスの崩れによる筋肉の過緊張状態は、近くを通る血管の圧迫を起こし、血流の低下を生みます。顔面への血流の低下が起こると、顔色の悪さから始まり、くすみ・シミ・むくみ・肌荒れといったお肌のトラブルにもつながる可能性があります。
かみ合わせが悪いと、首や肩こり、腰痛などが起こってしまうことがあります。その要因として。
先ほど「かみ合わせが悪いのは下顎の位置のずれが原因」とお話ししましたが、直立二足歩行で生活する我々人間においては頭にぶら下がっている下顎が歪むと、身体全体のバランスが崩れてしまいます。だから姿勢を保とうとして、全身の筋肉が無理をしてしまうわけです。すると、だんだんと筋肉の繊維は硬くなり、それが「こり」という症状となって表れます。特に頭を支えるために首や肩の筋肉がこり、背骨を支えるために腰の筋肉が影響を受けてしまいます。
顎の位置がずれると、体全体のバランスが崩れてしまいます。
人間の身体は、200の骨を400以上の筋肉が引っ張り合って、その張力バランスで形態を維持しています。そのため、どこかの骨が少しでもずれると、全体が崩れやすい構造になってしまいます。特に上の方でブラブラとぶらさがっている下顎の骨は動きやすいので、その影響も大きくなります。
顎の位置がずれると、脳にも影響が出ることも。
下顎の骨は頭蓋骨にぶら下がっているので、その位置がずれると頭を支えるために、まず首の筋肉が活躍して過緊張状態が続きます。脳への血管は必ず首を通っているので、首の筋肉の過緊張は脳への血流量の減少と直結しているのです。実際に、20%の減少が起こるとの研究結果もあります。脳の容積は身体全体の2%ほどなのですが、全血液量の20%を必要とする「血液を最も欲しがる器官」なので、その脳での血流量の低下は大問題となります。そのなかでも、一番影響を受けるのが「前頭前野」という部分です。前頭前野は人間性知能、つまり人間が人間らしく生きるための必要な知能が詰まっている場所です。この前頭前野に支障をきたすと、うつ症状をはじめとする様々な「こころの問題」を引き起こすことになります。さらに、血流が悪くなることで老廃物の排出が滞り、それが蓄積され続ける結果、アルツハイマー型認知症の発症の一因になっている可能性も否定できません。
自分のかみ合わせが悪くなっていないか、顎がずれていないかのセルフチェック法としては、
鏡に床と垂直になるような目印をつくって目印が体の中心にくるように鏡の前に立つと、顎が左右のいずれかにずれていないかをチェックできます。そのほかにも「唇を閉じた時に床と平行にまっすぐになっているか」「ほうれい線が左右同じか」「メガネをかけた時に歪んでないか」「目の大きさが左右対称か」「鼻の左右への曲がり」などもチェックしてみましょう。
ご紹介したセルフチェックをやってみて顎の位置にずれがみられる場合、今ある体の不調が「かみ合わせ」からきている可能性もあります。
体に何らかの不調をきたした場合、まずはその不調を専門とする診療科を受診して詳しい検査を受けてみましょう。それでも原因がはっきりわからない、不調が改善しない場合は、可能性として「かみ合わせ」を考えてみるのも方法の1つとのことでした。
今ある体の不調がかみ合わせによるものかどうかを、自身で判断するのは難しいと思いますので、
何か思いあたることがありましたら、
まずは石神井公園駅前四季デンタルオフィスへ。